ゴルフスイング
Nick Jagger
青木功の「ゴルフはゴロフ」という言葉は、ゴルフの真髄を表しています
昔、青木功プロがグリーン周りからのアプローチショットで、5番アイアンで転がし、優勝を決めた試合を鮮明に覚えています。
当時の青木のランニングアプローチは、どこからでもカップインさせるのではないかというくらいの名人芸でした。
青木がアプローチに入る前にまず考えることは、「パターが使えないか?」ということでした。
「ゴルフはゴロフ」が口癖の青木、アプローチは転がすことが一番という理由はなんでしょう。
パターほど安全なクラブはない
青木功が若い頃、全英オープンの準備のため、真冬の寒風吹く河川敷コースで連日練習していたことは有名な話です。
全英オープンの開催されるスコットランドのリンクスコースでは、グリーンのはるか手前からパターで転がすプロが多いですよね。
これは地面が硬いため、サンドウェッジではバウンスが弾かれるなどミスの危険性が高いからです。
また、グリーンのアンジュレーションが大きいため、ボールを上げた場合、落としどころをひとつ間違えると、バンカーなどとんでもないところに行ってしまうからです。
青木が最初に「パターを使えないか?」と考えたのは、ミスが少ないだけではありません。
転がしたほうが距離感を合わせやすいからなのです。
パターなら打ち出す方向さえ間違えなければ、あとは距離感だけです。特別な技術はいりません。
自分の距離感にさえ自信があれば、パターほど安全なクラブはないのです。
高く上げると、距離感が合わない
そもそも、距離感というものは、高いボールよりも低いボールのほうが合うのです。
例えば、あなたが今グリーンから5ヤードの場所に立っているとイメージしてみてください。
カップはエッジから20ヤードとしましょう。
そこからボールを放り投げてカップに寄せようとしたら、どんなボールを投げますか?
おそらく誰もロブショットのような高いボールは投げないでしょう。
ボールの高さは、せいぜい1メートルくらい。下手投げで、できるだけ低いボールをエッジから10ヤードくらいの場所に落として、あとは転がりながらカップに寄せていくというイメージでボールを投げる人が、圧倒的に多いはずです。
ボールを高く上げて距離感が出ないのは、手で投げる時も、クラブでボールを打つ場合もまったく同じなのです。
ミドルアイアンの寄せも練習しておこう
それも、できるだけ早くボールをグリーンに落として、転がる距離を長めにしたほうがカップに寄りやすいはずです。
だから青木はパターが無理なら5番アイアン、5番が無理なら6番、7番と、キャリーさせる距離が短くて済むクラブから考えたわけです。
しかし、アマチュアゴルファーで、アプローチでミドルアイアンを使う人は滅多にいません。
ほとんどの人がウェッジ一本槍です。
実際、練習場でもそんな転がしを練習している人は皆無です。
まあ、あまり面白くもない練習ですし、ボール代ももったいないという気持ちもわかります。
しかし、本当にスコアアップを望むなら、転がしは絶対マスターしておくべきです。
打ち方はパターのようにコツンと当てるだけです。
番手別の距離感さえつかめば、寄せワンの数が飛躍的に増えることでしょう。