ゴルフスイング
おっ3
敵か味方か!?フライングエルボー
横峯さくらプロのダイナミックなトップです。オーバースイングが目立ちますが、大きく開いた右脇も特徴的ですよね。
横峯プロのように肘が浮いたトップを『フライングエルボー』と言い、矯正するほうが良いとされています。一般的なセオリーでは、右脇は締めるものですからね。
でも、フライングエルボーってそんなにいけないことなのでしょうか?
帝王ジャック・ニクラウスも!
全盛時の“帝王”ジャック・ニクラウスのアイアンでのトップです。
左手の甲は折れていませんが、右肘は完璧な『フライングエルボー』ですね。
パーシモンのドライバーに糸巻きボールでかっ飛ばして手にした勝利は、PGAツアー73勝、メジャー18勝を数えます。
文字通り、世界を席捲した最高・最強の男子プロゴルファーと言っても過言ではないと思います。
かつて『最強のアマ』とも言われた田村尚之プロもフライングエルボーと言っていいスイングだと思います。
となると、フライングエルボーは決して矯正するべきものではないのでは? という疑問が湧いてきますよね。
強く叩く準備!
バレーボール全日本男子のキャプテン(当時)、柳田将洋選手のアタックする寸前の写真です。
バレーボール経験のない方も、この形をちょっと真似してみてください。
右の肩甲骨が大きく動いて背骨側に寄っていくと思います。このポジションはまさに『フライングエルボー』の位置です。
柳田選手はこの後、左腕を身体の後ろに引くようにしながら、右腕の撓(しな)りを利かせてボールを叩くわけです。
ボールを叩く?
横峯プロも、ジャック・ニクラウスも飛ばし屋として知られています。
ということは、『フライングエルボー』はボールを強く叩く準備の姿勢ともとらえられるのではないでしょうか?
脱力感!
還暦近くなっても、若々しいスイングで見る者を魅了するフレッド・カプルスも、『フライングエルボー』の名手です。
彼の契約メーカーはドライバーに“Boom Boom”という名前を与えるほど、全盛時のスイングは強烈でした。
やはり『フライングエルボー』の名選手は、強打者が多いようです。
では、どうしたら『フライングエルボー』を上手く使えるのでしょうか?
全選手に共通しているのが、上半身の脱力感です。
構えた時とほぼ同じ角度の左手の甲の向き、よく回っている肩の位置、強い踏ん張りを感じる下半身。
これらができていると、右肘をトップの位置から真下に落とすことができます。
浮いた肘が体側に沿うまでの距離で肘が先に加速されます。そして撓りを利かせて手首、さらにはヘッドが加速しながら降りて来ます。
この加速の手助けをするのは、右肩甲骨周りの筋肉です。右脇を締めるよりも加速の観点だけならば、効率的なのかもしれません。
ただし、くれぐれも上半身の力みを抑えてください。力みは『フライングエルボー』のメリットをすべて消してしまいますから!!