プロゴルファー
こせきよういち
マスターズの最後のチケットをゲットした男~世界のゴルフ界の面白情報を拾い読み#66
マスターズ・ウィークです。
今年の大会では全87選手が出場権を得ていますが、その最後の1枚--大会前週のヒューストンオープンの優勝者--をゲットしたのは、米ツアーでも「お騒がせ男」「変わり者」として知られるイングランド出身のイアン・ポールターでした。
アメリカでも嫌うファンが少なくないポールターですが、今回はマスターズ出場に執念を燃やす、ガッツ溢れる素晴らしいプレーぶりで、ゲームを大いに盛り上げました。
最終ホールのバーディでプレーオフへ
今回の劇的展開のドラマは先々週の世界ゴルフ選手権「デル・テクノロジーズ・マッチプレー」から始まります。
ポールターは土曜日午前中のベスト16を勝ち抜き、午後のベスト8(準々決勝)に駒を進めたところで、取り囲むメディアから「これで来週発表の世界ランキングで50位入りが決定したから、マスターズに出られる」と告げられたのでした。
彼にとっては2年ぶりのマスターズ。ホッと気持ちが緩んだに違いありません。
ところが、午後の準々決勝のスタート10分前に、「さっきのは計算違いで、50位以内に入るにはもうひとつ勝たなければならない」と知らされたのです。
しかし、一度緩んだ闘志は、残り10分間では元に戻せませんでした。
8&6(残り6ホールで8ダウン)の大敗。
余りのショックに、ポールターは翌週のヒューストンオープンの欠場を考えたと言います。
それでも、気力を振り絞って出場したのですが、初日は73のスコアで123位スタート。
「荷物をまとめて、帰り支度をした」と語っています。
ところが、そこから劇的な巻き返し。
最終日も終盤に一度は逆転されたのですが、最終18番ホールで気迫のこもったプレーを披露しました。それが上掲の動画です。
約6メートルのバーディパットを沈め首位に追いつくと、自分の胸を力強く何度も打ち付けます。
そして、ボウ・ホスラーとのプレーオフとなったのですが、ゲームの流れはポールターのものでした。ホスラーの自滅で、勝負は1ホールで着きました。
勝利のパット後に見せたガッツポーズには、前週の失意のどん底から這い上がってきた男の執念が込められているようです(下掲の動画をご覧ください)。
ライダーカップに闘志を燃やす男
イアン・ポールターは米ツアーでは通算3勝(うち2勝は世界ゴルフ選手権)しか挙げていませんが、欧米対抗戦のライダーカップには欧州代表として5度出場(うち4大会は欧州チームが勝利)。
欧州をいく度も優勝に導いています。
なかでも伝説的な活躍を見せたのが、2012年大会です(下掲の動画)。
この年は、ペア・シングルス合計4マッチに出場し、すべて勝利。敵地・アメリカでの劇的逆転優勝の原動力になりました。
ポールターはマッチプレーになると気迫を全面にプレーする、マッチプレーを得意とするプレーヤー。
世界ゴルフ選手権のマッチプレーでも、優勝:1回(2010年)、ベスト4:2回、ベスト8:2回と好成績をマークしています。
また、前述のヒューストンオープンの優勝もマッチプレーによるサドンデスプレーオフでした。
今年9月、フランス・パリで行われるライダーカップでも活躍が大いに期待されます。
アンチも多いけど絵になるプレーヤー
ポールターは自身のファッションブランドを持っていたほど、ファッションにうるさいプレーヤーです。
マスターズでも、そのウェアが注目されるところです。
さらに、ファッション以外でも、何か面白いパフォーマンスを見せてくれるかも知れません。
上掲の画像は、2年前に欧州ツアーが「練習ラウンドでの選手のショートパンツ着用」を認める制度変更を行った際、その喜びを全身で表現したところです。
また、下掲の動画は、そのホールだけで2万人規模の大ギャラリーが詰めかけるフェニックス・オープンの16番グリーン上で見せた、練習ラウンドでのユーモラスなリアクションです。
「変わり者」だけど、どこか気になるプレーヤー。
イアン・ポールターのマスターズにも注目です。