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【がんばれ松山】メジャー第二戦、全米オープン2017の見どころ
いよいよ今週木曜より、今季メジャー第二戦である全米オープン選手権(以下全米オープン)が開幕します。
1895年に第1回が開催され、今回でなんと117回目。四大メジャーの中でも、1860年に始まった全英オープンに次ぐ長い歴史を誇るこの大会について、最新情報と共に見どころをお伝えします。
目次
大会の概要
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日程:6月15日(木)~18日(日)
会場:エリンヒルズ@ウィスコンシン州エリン(パー72/7,693ヤード)
賞金:総額1,200万ドル/優勝216万ドル(約2億4,000万円)
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全米オープンはその名のとおりアマチュア(ハンディキャップ1.4以下であることが条件)にも門戸が開かれているオープン競技であり、日本、イングランド、アメリカ各地で予選会が開催されます。
優先資格を持たないプロもこの予選会に参加しますが、エントリー総数は世界で8,979名、そのうち出場権を獲得したのはわずか73名という狭き門。
日本人では、先日兵庫県の小野ゴルフ倶楽部で行われた予選会にて、宮里優作、小平智、今平周吾の3選手が出場権を獲得しました。
プロに対しては16の優先資格が設定されており、これらを満たす77名が出場権を得ることができます。以下はその一例です。
・過去10年の全米オープン優勝者
・昨年の全米アマ選手権優勝者、および2位
・過去5年のメジャー大会(マスターズ・全英オープン・全米プロ選手権)優勝者
・全米オープン開催2週間前または開催週の世界ランキング上位60名 など
優先資格で出場する日本人選手は、松山英樹、池田勇太、谷原秀人の3選手です。
中継を担うテレビ朝日が以下大会フェイスブックページを開設し、練習ラウンドの模様を含む最新情報を配信しているので、こちらもぜひご覧ください。
コースとセッティング
全米オープンは他のトーナメントと比較し難易度が高いと言われています。
狭いフェアウェイ、深いラフ、強い風、巧妙に配置されたハザードは、選手に対してマスターズのようなバーディー合戦ではなく、忍耐強くパーを積み重ねることを求めます。
会場は開催の5年前に決定し、長い時間を掛けてセッティングされます。一時期は優勝想定スコアをイーブンに設定しているとされ、オーバーパーであることも珍しくありませんでした(2006年・2007年は+5、2012年・2013年は+1)。
厳しすぎるほどのセッティングは時に物議を醸します。2015年の会場チェンバーズベイでは、グリーンが異常に硬いことから「良いショットが結果に結びつかない(=フェアでない)」と批判を受けます。
また、フェスキュー芝が張り巡らされたはずのグリーンにポアナ芝が混在し、ボールが跳ねて思い通りのパッティングができない選手が続出。
プロトーナメントの開催が初めてのコースということもあり、運営の不備も散見されました。
解説を務めたゲーリー・プレーヤーはこれらを「まさに悲劇だ(It’s actually a tragedy.)」と言い放ち、優勝したジョーダン・スピースでさえ、「今までプレイした中で最も馬鹿げたホール(The dumbest hole I've ever played in my life.)」と振り返ります。
前置きが長くなってしまいました。ではエリンヒルズはどんなコースに仕上がっているのでしょうか。
チェンバーズベイと同様にリンクス風のパブリックコースであり、フェスキュー芝が採用されていますが、気候が異なることもあり芝の状態に問題はないそうです。
フェアウェイが広く、一見するとロングヒッター有利に見えますが、何と言ってもその特徴は長いフェスキューのラフ!
練習ラウンドを回った選手たちは「ひとたび入れてしまうと、出すだけがやっとだ」と口を揃えます。
ファーストカットも狭く、フェアウェイを外すことが致命傷になりかねないエリンヒルズ。ティーショットの精度と風との付き合い方が、飛距離以上にものを言う試合になりそうです。
以下、ケビン・ナがアップした動画をご覧いただくと、その厳しさがよく分かります。「フェスキューはプレイできないほどだ。ボールも見つからない」とコメントしていますが、果たして…。
注目選手
最後に注目選手を5名ご紹介します。
●松山英樹
今や“いつメジャーを制してもおかしくない選手”として取り上げられる松山英樹。公式サイトのパワーランク(優勝予想)では11位に挙げられています。
PGAツアー通算4勝の実績だけでなく、既にすべてのメジャーでトップ10フィニッシュを経験していますし、その実力に疑いの余地はありません。全米オープンは、初出場の2013年に10位タイでフィニッシュしています。
無敵の強さを誇ったシーズン序盤と比較すると、最近の成績には物足りないものがあります。連覇を果たしたウェイスト・マネジメント・フェニックス・オープン以降、マスターズの11位タイ以外は中~下位に甘んじており、明らかに調子を落としています。
パッティングの不調が続いていますが、最悪の時期でもあった2~3月のストロークス・ゲインドと比較すると、ここ数試合は調子が上向いており、明るい材料です。本人もその手応えを口にしていますし、休養を挟んで良い準備ができていることを期待しましょう。
予選ラウンドの組み合わせは、またもやリッキー・ファウラーと、スペインの新星ジョン・ラーム。ファウラーはダスティンを抑えパワーランク1位、ラームは同4位という本命達と共に、予選でスコアを伸ばし合えるでしょうか。
●ダスティン・ジョンソン
昨年の全米オープンで、不可解な裁定を受けながらもメジャー初優勝の悲願を達成したDJは、その後破竹の勢いで勝利を積み重ね世界ランク1位へと上り詰めます。
特に今年2月以降の強さは際立っていますが(出場8試合で優勝が3回、2位タイが1回)、マスターズ開幕前日の階段転落で負った怪我の影響か、その勢いは少し失われたようにも思います。
実際、復帰後の試合ではトップ10入りがなく、直近のメモリアル・トーナメントでは予選落ちを喫してしまいました。
先述のとおりパワーランク1位の座はファウラーに譲り、2位に挙げられていますが、現時点の世界最強ゴルファーであることは間違いありません。思い入れの強いであろうこの大会に、必ず照準を合わせてくることでしょう。
●マット・クーチャー
全米オープン直後に39歳を迎えるクーチャーは、ツアー通算11勝ながらメジャーでの勝利がありません。
距離がネックではありますが、その正確なショットと抜群の安定感、ピンチを救うスクランブリング(パーオンしなかったホールでパー以上でホールアウトする、要するにアプローチのこと)技術は、エリンヒルズの罠を巧みに攻略していくかもしれません。
マスターズ4位タイ、AT&T バイロン・ネルソン9位タイ、メモリアル・トーナメント4位タイと、ここに来て調子を上げてきていることも好材料です。
●フィル・ミケルソン
全米オープン以外のメジャータイトルを手にし、キャリアグランドスラムに王手を掛けているミケルソンは、今大会にエントリーはしているものの欠場が濃厚です。その理由は長女アマンダさんの卒業式に出席するため。
カリフォルニア州で12時開始の卒業式と、ウィスコンシン州で14時20分にティーオフする全米オープン。
時差があるとはいえどんなに急いでも間に合わない距離ですが、悪天候等で遅延が4時間以上発生すれば間に合う可能性があるとか。
奇跡が起きる可能性は限りなく低いでしょうが、家族を優先するミケルソンに賞賛の声が上がっていることは言うまでもありません。
●マーベリック・マクネリ
オープン競技でアマチュアが台風の目となることは珍しくありません。ということで最後にご紹介するのは、2016年世界アマチュアランク1位のこの選手です。
ゴルフの名門、スタンフォード大学に在籍するマクネリは、アマチュア主要4冠を達成している期待の若手です。
一方で父がIT企業の創業者という家柄でもあることから、大学卒業後にゴルフかビジネスのいずれを選択するかに注目が集まっています。
全米オープンの成績が、果たして彼の今後にどのような影響を与えるのでしょうか。
以上、全米オープンの直前情報をお伝えしました。
ツアー随一のタフなコースに対して、トッププレイヤー達がどのように立ち向かうのかとても楽しみですし、日本人6選手の活躍からも目が離せません。
今週末は寝不足覚悟で、全米オープンを楽しみましょう!